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どるとるの部屋


[1694] 働く人
詩人:どるとる [投票][編集]


ため息つくと
メガネが曇って
せっかくの綺麗な夜景も見えない
でも見えないほうがいい夜もあるから
見えても見えなくても変わらない夜もあるから
働く人は今日も
おなじみの悲しみ 背負ったまま
足取りもおぼつかず 家路までふらふらで向かう

誰も味方などしてくれない
わかってるよ
ただそれが
ただそれが
ひたすら悲しいことも

それでも
頑張ってるんだ
生きているんだ
何があっても
これだけはと
これだけはと
いつも
どんなに転んでも
立ち上がって
涙押し殺して
歯を食いしばって
働く人は今日も働く

帰り道
何者かが
僕の背中に
たくさんの
悲しみを
背負わせるよ

僕を見る人の目が冷たいことも
僕の心が貧しいことも全部
わかってるよ
ああ それでも

愛想だらけ
嘘ばかり
あふれるこの世界で汚れずにいるのは難しいだろう

だから時には
ピエロの化粧を落として
そのふざけた笑い顔を取り去って
働く人の苦悩を怒りに変えて
理不尽に立ち向かう
そんなこともひつようなんだぜ

働く人よ おまえが背負う悲しみ
それは誰にも嘲られない悲しみだから
ずっと強がりでも
仕方ないとあきらめることは全然ない

めぐる明日に希望をもっていてももっていなくても
働く人にはどんな希望も小さなものに見えてしまうから

つかの間の安らぎの中にある永遠に消えない愛に語りかける幸せがなんとももどかしい気持ち

夜空を見上げて
ポッケに手を入れて
よくある構図の中
切なさだけは
リアルに際立つ
そんな夜の途中
目をつむると
もう朝だった
そんな時間の速さにおびえる真夜中

枕を抱いたまま
働く人は明日も
ただ働く人
平凡に身を置く人。

2010/08/03 (Tue)

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