詩人:どるとる | [投票][編集] |
さよならと言い交わし手を振るだけで他人になってしまう
映画なら簡単だけど
現実はそんな簡単にはいかないね
画面をとおして伝わる誰かさんの悲しみや切なさなんて
作り物の嘘っぱちでしかないよね
好きなのに
こんなに
好きなのに
ぼくらは
別れなければ
いけない
複雑な関係さ
ふたり 向かい合う
雨の中 傘も差さないで
目と目で見つめ合ったまま
静寂の流れる景色の中
映画のようにさよならを言うけど
その時の悲しみや涙は本物だから
胸を突き刺す痛みも本物さ
ほら映画なら
終わってしまえば
悲しかったねで終わるけど
現実はいつまでも
消えない
痛みが残るんだ
終わらない映画が
ぼくの中でまだ続いている
さよならしても
終わらない
消えないこの痛み
ぼくの胸には消えない傷跡が残ってる
今さらどちらが悪いとかなんていわないけどぼくらの映画はまだ終わってないのさ
エンドロールさえむかえてないのに
ふたりはなぜか
終わるはずの映画の中でたとえば暗くなった画面の中で
人知れず
お互いをさりげなく思いながら胸を痛めて日々暮らしてるんだ
そんなシネマは今も
ぼくらの中だけで
上映中さ
エピローグは存在しない 終われないシネマ
やまない雨が降り続くような 悲しいだけのシネマ。