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どるとるの部屋


[1760] 近くて遠い人
詩人:どるとる [投票][編集]


大切なものほど近くにあるもので
それなのになぜか気づかないもので
そのために僕は見逃したよ
あの人の涙
そのために僕は傷つけたよ
あの人の心

終わりのない夜が
やがてつかの間にやって来て
どこかに君を影ごと
連れ去ってしまう
そんな気がしてるんだ

手を伸ばせば
すぐ近くにいるのに
どうしてだろう
君と僕との距離は
近すぎるあまりはかりしれない距離にもなる

言葉ひとつさえ
言えないまま
時がすべて何もかも変えてくれるのを待つだけ

忍び足で夜明けが近づき 空が明らんでくる頃には
きっと君にこの気持ち伝えられる
そんな確証もない自信に満ちあふれてる僕がいた

たとえば地球の反対側同士に住む人の恋のような
なんだか大げさな恋さ

君は僕からは
近くてでも遠い人に見えるんだよ
なぜか君に触れると花びらのように崩れてしまいそうで
なんだか話しかけることさえこわいんだ

だから僕らは
限りなく
離れていく
離されてゆく

君が磁石のS極なら
僕もまた同じにS極だから
反発しあって
肩を並べることすらできない

遠くから見た
君は美しくて
いつも
輝いているのに僕は安上がりな言葉しか持ち合わせがない

初恋はさながら花びらのようにまぶたの裏側で静かにこぼれ落ちたのでした

純白のストーリー
ひそやかに表紙を閉じた太古からの恋。

2010/08/25 (Wed)

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