詩人:どるとる | [投票][編集] |
さよならっていってるみたいに 並木道を風が吹き抜ける
風の帰る場所はやっぱり同じ風の中
ポケットをさぐれば
色違いのビー玉が二、三個手の中で転がる
少しつめたい
誰かの背中が切なさをはらんでる
黄昏色の夕空が輝く
胸を突き刺すこの痛みには名前さえないけど
もしも名付けるなら
なんて名付けようかな
思いもつかないな
夕暮れ並木道
僕はただひとり
色あせたベンチに座り 目をとじるのさ
僕もさよならっていうように風の中に消える
単純なストーリー
ただそれだけの物語
さえないあらすじ
だけれど素敵な物語
手を振るまもなく
終わってしまうよ
夕日の背中が見えなくなるまでお別れをしよう
夕暮れ並木道
風が吹き抜けた
あとにはただ
名前のない切なさが
忘れ物みたいに
残ってるだけだよ
雨上がりにも似た
澄み渡った景色
無意味なものは
なにもない。