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どるとるの部屋


[1864] そよそよそよいで
詩人:どるとる [投票][編集]


あまりの暑さに寒さを忘れていた
僕の油断がまねいた
風邪っぴきの1日窓の外は雨

並木道に木枯らしにも似たつめたい風が吹く

最後の言い訳に
おやすみだけを言うよ
あとは何も言わないでごまかすように君のほほにさりげなくキスをする

僕は君の中で
ただ風になって
そよそよそよいでいたいだけ
求めるものは
単純だ
難しいものは何ひとつない

特別なものをはぶいた簡単な答だよ

夜が来たなら
窓を開けて
声がするほう声がするほうに導かれて やがてたどり着く君の部屋で素敵な時間を過ごそう

不安も悲しみも
立ち入りできない
僕らの小さな楽園
鳥こそ鳴かないけど
君がいれば
暗い夜も明るくなる

ほらね あたたかいコーヒーが冷めないうちに 飲んでしまおう
美味しいのは今のうちだけだよ

若さをひけらかし
愛に一生懸命な僕らに訪れた哀愁の初秋

さながら並木道に吹く風のように
時々君を切なくさせては 黄昏の中へと追いやるけど
僕は君を思わない日はないよ 誓って

僕は君の中で
ただ風になって
そよそよそよいでいたいだけ
求めるものは
単純だ
難しいものは何ひとつない

暗い夜も眩しい朝も
そこにいてあたりまえの人さ
だから明日もそこにいてね 気づかないくらいあたりまえに笑っていてね

何より それが幸せさ

君は心地よい風
傷ついた心をいともたやすく癒してしまう。

2010/09/30 (Thu)

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