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どるとるの部屋


[1923] 僕の世界
詩人:どるとる [投票][編集]


視界いっぱいに
ひろがる雨雲
もうすぐ
雨が降り出すだろう

それをわかっていながら
濡れるのも覚悟で
悲しみに体当たり

僕の住むこの世界は
規模だけやたら広くて
立場はやたら窮屈で
見えている景色だけではわからない
悲しみや喜びがたくさん咲いているのです

たとえば少し離れた
隣の国にも
たとえば海をはさんだ遠い国でも
それは変わらない
社会通念上の真実

さあ 気まぐれに
エンジンをかけては
どこへ行くのかな
予定も立てずに

神経質な割には
いい加減な人は
行き先も決めずに
勢いまかせで
悲しむことを
嘆くばかりか
悲しむことを
喜んでいる
楽しんでる

僕の生きるこの世界には一応ルールというものがありまして
でもそれは裁かれることをおそれない人にはただの脅しでしかなく
だから今日も誰かが誰かを傷つけ殺めているのでしょう

もはや人を縛ることなどどんな罰を課してもそれは単なる脅しにしかならない
だから
嫌なニュースは尽きない
明るいニュースの影につきまとうように悲しいニュースが見え隠れする

さあ 今日は
どんな出来事があるだろうか?
少しでも何も起こらず平穏な毎日はあるだろうか?
無事に夜をむかえ
無事に次の朝に目覚める
そんな繰り返しの中で
無事に死に目をむかえ
無事に弔われる
そんなふつうの人生さえおくれたなら
僕は幸せなのに
より多くの幸せを
手に入れたい人の瞳はなぜにそれほど血走っているのだろうか

理解できない事が多すぎることが理解できない

雨の降らないありふれた青空をのぞんだ鳥がふいに撃ち落とされるような
こんな世界は愛しくて
だけどその愛しさのぶんだけ憎くて
いたたまれない

そんな世界で
僕は生きている
何かにおそれながらも
幸せな気持ちにもなる

光と影が巧く隔てられたこの世界で
今日も ゛もしもの雨゛に降られて 濡れる。

2010/10/15 (Fri)

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