詩人:どるとる | [投票][得票][編集] |
寒い冬の日に
息を吹きかけて
両手をあたためる
春を待つつぼみは
今は長い夢の中
眠りから覚めるのを待っているのさ
粉雪が肩越しに
ぱらりと 降り注ぐ
君がくれたマフラーで
君がくれた手袋で
僕はこの冬を乗り越えていく
君がくれたぬくもりで
君がくれた思い出で
僕はひとりぼっちの夜を数える
よみがえる記憶の端にちらつく君の笑顔が今はただ恋しくて
はらり はらりと
雪が舞い散るから
それはまるで時の流れのよう
切なくなる
出会い別れる季節はもうすぐ
でも春になるまえに別れた恋人はもう二度と会えない
君がくれたマフラーは
君がくれた手袋は
優しい記憶だけをなぜ残すの?
君がくれたぬくもりは
君がくれた思い出は
いつまでも忘れられないの?
魔法みたいにそれはにわかに信じがたくて
触れられず見えないものなのに
どうしてこんなにも
悲しいのだろう?
君とよく歩いた
並木道には
木枯らしが吹くけど
ひとりぼっちじゃとてもさみしくて寒いよ
寄り添う人の
手のぬくもりも
優しい言葉も
何もないから
それでも目を閉じて
大好きな君を思う
その時
世界は目蓋の裏で輝くだろう
心の中を舞う
枯れ葉のような
切なさ 孕んで。