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どるとるの部屋


[2334] いつもの景色
詩人:どるとる [投票][得票][編集]


今日も夕日が沈んでく
殺風景な部屋の窓にうつるいつもの景色

あきるくらい見ているはずなのにね
不思議とあきないのは美しいからかな

弱音ばかり吐いているよ
愚痴ばかり言ってたよ
口の減らないやつだと
ののしられていたよ

それでも愛されてたよ
それなりに誰かを愛したよ

くだらないものなんて
何ひとつ無いから
無意味なことも無いから
ここにある1日は
意味のある1日だ

いつもの景色が
いつもより輝いて
見えるその時
大切なものとともに
涙があふれて
そして
夕日が沈むように
僕の中の迷いも
悩みも静かに消えてく

いつもの景色なのに
いつもより綺麗に
見えるのは偶然じゃないんだ

いつも見てる景色の見逃してる美しさに
じっくりと目をはこべば
ほらね空と街の切れ間に静かにのみこまれていく夕日が優しく見える

夕日が愛しく見える

さよならなんて言葉は似合わないね
だから言うよ
また会おう
明日もお元気で
明日もお元気で

笑おう
泣こう
遊ぼう
眠ろう

いろんな今日があるね
人生は悲しくて
でも楽しいね

生きることは難しい
でも素晴らしい

痛みを抱えながらでも生きたいくらいに

こうしていつもの景色とともに
僕の思い出はいくつも遠ざかるけど
思い出の匂いはいつまでも変わらない
だから僕は今日もまっすぐに明日へと歩いていけるんだ

いつもの景色が
やがて僕が死んだあとでも変わらない景色であるように
願いながら
何か思いながら

今日も僕はいつものように
僕は僕で
君は君で

ただここにいただけ
泣いていただけ
笑っていただけ

夕日が沈んでいくようにまたひとつ
僕の中の僕も綺麗に死んだだけ

そしてまた僕は明日
新しい僕に生まれ変わって
今日と同じように
いつものように
この夕日を見てる

いつもの景色の中
いつもとは違う光の中。

2011/01/10 (Mon)

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