詩人:どるとる | [投票][得票][編集] |
夜は朝を食べる魔物
朝は夜を食べる魔物
ちなみに僕は草食で彼女は肉食だ
やがて朝は夜に食べられて
まるで食物連鎖のようにまた朝が夜を食べる
夜という魔物がすべての光を食い尽くして
その残骸が人口の光だけになったら
街は暗闇の中
魔物の胃袋の中
なかなか眠れないや
理由は特にはないが
それでも眠れないや
錠剤は効かない
銀盤の上でダンスを踊るように
円を描くように彼女はコーナーを廻る
僕は夜の魔物と戯れて
ひとり口笛を吹く
明日の天気など
どうでもいいから
少しだけ夜の魔物よ
僕に光を残しておけ
君の家へとつづく路がわかるように
今夜も息を荒らげて
路なき路を進む
君の家の灯り
見つけたら
僕の鼓動はオーケストラ並みに高鳴る
さあ 慰めのひとつも用意しておけよ
本当、気が利かない人なんだから
それでも好きな人
夜に食べられた
朝が僕に言うよ
私は夜に食べられるための朝なのさと
そして
夜はこう言うよ
わが輩は朝に食べられるための夜なのだと
明日になれば立場は逆さまになる
僕と君のように
君と僕のように
夜が朝と戯れるように
僕も君と戯れるのさ
死ぬまで、たぶん
いくつかの夜と
いくつかの朝と
食べ残された
休暇を残して。