詩人:どるとる | [投票][得票][編集] |
身も心も穏やかになるようなあたたかな陽射し差し込む開け放された自由な午後
ふと目を閉じ
風を感じれば
思い出すよ
君のこと
遠い昔話になるけれど
あるところに愛し合う二人がいました
そしてその二人は
桜舞う道の上で出会い
桜舞う道の上で別れました
桜があんなにも大好きだったはずなのに
出会いの場所が
別れの場所に変わったとき 僕は春になるのがこわくなったよ
春がくると切なくなるよ
大事なものはいつだって 息もあたるくらい 近くにあるのに
なぜってくらい
気づかないんだよ
忘れてしまうんだよ
言葉でならいくらだって言えたはずだね
それなのに 僕の口から飛び出したのは 桜さえ散らすような
さよならっていう終焉の呪文
桜咲く季節はなぜか切なくなる
君のこと 思い出すから
こんなにも 穏やかなのに 春風にさえ背を向けて
うつむいて歩く桜並木
心の中は 君へのもうしわけなさでいっぱいさ
でも 一度枯れた花は咲かないね
僕が君に今さら
言える言葉はない
だから歩きだすのさ
ひとりきり 花びらで埋め尽くされた
桜色の花の道を。