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どるとるの部屋


[286] 涙のゆくえ
詩人:どるとる [投票][編集]


悲しみは流れ流れてどこへ消えて行くのか
さよならも言わずにまるで雨粒みたいに跡形もないまま
涙はゆくえをくらましたのさ

僕からたずねることもなく
涙からきいてくることもないから
当たり前な話だけれど
たずねたってきいたってなんの答もかえってはこないよね

涙のゆくえを知ったところできっと僕にはなんのとくにもなりゃしないさ
涙を見送るときは黙って見送ろう

さよなら涙
ふるえる声で
永遠へ消えていく
涙に心の中だけで
つぶやくよ

そしてまた涙がほほを伝うとき僕はまた会えたねとでもいうのかな
そこにはなんのあたたかさも交流もないけどどこか親しみがある
そんな涙と僕の日々が笑顔よりも親密になっていった

涙よどこへ行こうとも
またここへ戻っておいで
僕のほほならいつでもぬらしてかまわない
僕は君を愛してる
涙よ僕のそばにいて

光り輝くわけじゃないけど僕の中だけで輝いているんだ
涙は一瞬で消えても
永遠にその姿を記憶に刻み込むほどの存在感で僕を一生ぬらすのさ

だから僕は涙のゆくえなどわからなくていい
また会えるから
生きてれば何度でも
ほら悲しみや喜びがそれを引き起こしてくれる
君を 涙を 呼んでくれるから…

2009/10/11 (Sun)

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