ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 幻の恋

どるとるの部屋


[2968] 幻の恋
詩人:どるとる [投票][編集]


どんな事にでも理屈や理由をつけて
冷静な自分を演じようとする
僕はまるで道化師のように 大事なあなたの前でもつくられた笑顔で心を開けずにいたんだ

ずっと 何かが おかしいと思っていた
だけれど裏腹なまでに本心はあなたを誰より愛していた

でも、さよならという幕が今静かに閉じていく
台本の中で続く劇のような 二人のゆがんだ愛は終わる

幻のような恋が僕の目の前を通り過ぎてく
君を愛していたのは僕じゃない僕なのさ

幻のような恋が僕の目の前を通り過ぎてく
振り返ってみても ただ木枯らしが吹いているだけ

最後に見たあなたの涙は ずっと忘れられない記憶だから
僕の心に焼きついて離れないだろう

道しるべを失った舟のように 宛てをなくして さびしさという大きな大きな海の中をさまよう日々が押し寄せるよ

幻のような人のぬくもりが消えていく
もう誰も愛せない
もう誰も愛さない

幻のような人の優しさが遠ざかってく
もう誰も傷つけない
もう誰も傷つけられない

幻のような恋が僕の目の前を通り過ぎてく

そしてやがて 夜空に散らばる星屑のように
瞳でとらえられてもけっして届かない
ただの幻になる

燃えつきた二人の時間は 木枯らし吹く並木道のベンチに積もった落ち葉のように
彩りをなくして
それぞれの記憶の中で忘れようとしても何度でもよみがえる忘れられぬ記憶になる

それが幻の恋

幻のような恋です。

2011/06/14 (Tue)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -