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どるとるの部屋


[3150] さよならを言うまえに
詩人:どるとる [投票][編集]


夕陽に さよなら
今日は楽しかった
何にも変わったことはなかったけど
ふつうってことが何より幸せだから
何にもなくても
それで十分って
僕は笑うのさ

何事もない一日
つまりはつまらない一日
考えようによりゃ何事もなくて良かった
ふつうより幸せなことはないのだから
ありふれている毎日は恵まれているのと同じ

精一杯笑えたかい?
君は精一杯泣けたかい? 今日は今日だけしかない今日だってことを知ってるのさ
痛いくらいに
きっと誰もが

胸を突き刺すような
切なさに焦がれて
僕は何も言えなくなってしまうよ

灯りがともった静かな街に 忍び足でやってくる夜に 僕は抵抗もせずに今日も抱かれて

おやすみ

とりあえず
さよなら
手を振った帰り道
僕が うつむけば
僕の影も同じように
うつむいているよ
見上げればどこまでもつづいてるきれいな星空 夢にまで見たような景色だね

世界はいろいろ大変だ 今も戦争に明け暮れてる 国もある
幸せボケで それが当たり前だって 毎日笑ってられる僕らは幸せすぎていつの間にか 大切な何かを忘れてしまったのかもね

あなたのその目は 本当に大切なものが見える目ですか?
あなたのその心には ありふれた毎日を愛せるような ゆとりはありますか?

バカがつくほど単純なこの僕の心を突き刺すような 切なさが身にしみる夜

当たり前な優しさが不思議なくらい あたたかくて涙を流さずにはいられない

ああ ありがとう
愛してる

上手にさよならできたかい?
毎日毎日ため息ばかりだけど
これはこれで幸せ

だからさよなら言うまえに
ありがとうを言おう

そしたらきっといつもの夕暮れやいつもの夜空がよりきれいに見えるよ

きっとね きれいに見えるよ。

2011/08/14 (Sun)

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