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どるとるの部屋


[3323] 機械仕掛けの林檎
詩人:どるとる [投票][編集]


ある日人は人にたずねました
どうしてあなたは生きているのですか?
それは僕にもわからない あなたにもわからない 質問です

人が生まれ そして死んでいくそのわずかな時間を短いか長いか感じるのは人の勝手だけど確かに言えるのは誰にも生まれた意味はわからない

いつの間にかここに咲いていた
僕らは 自分の生まれたからくりさえわからない 花と同じだ
ただ毎日青空を眺め
ゆらり 揺れて
雨の日にゃしょんぼりして
たまに恋人と寄り添って 口づけをする

僕らは機械仕掛けの甘くて熟した林檎
みんなそれぞれの色を持ってる多種多様な果実

いつの日か 熟れすぎて 腐って 死んでしまうんだ
壊れてく 壊れてく
ほころんでく 余りある時間の果てに
アダムとイヴが手にした禁断の果実を
むさぼり食おう
愛する人との最後の時間とあらば
どんな罪も許されよう
機械はいつか壊れるものと知っているから
僕らは狂おしいばかりに互いを求め
それゆえに傷つけあうのさ

滴まで おいしい
真っ赤な真っ赤な林檎。

2011/10/13 (Thu)

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