詩人:どるとる | [投票][編集] |
街の道々に
佇む
かすかな光を
発する
街路灯に
ぼんやり照らされた
さびしげな冬の道
雪こそ降ってないけど雪の降りそうな 寒さがきびしい夜
街灯に 羽虫が 群がり 小さなからだを 目一杯動かして
虫たちが聞こえない声で お話しをしている
街の灯にさえ 照らされず 闇に飲み込まれた 道に 涙をこぼしても見えないのをいいことに 流した涙
やがて 乾いてく涙
ああ 笑いたければ笑えばいいよ
鏡に映った自分自身に向かって指をさして 笑うように
同じ 今を生きる
自分を笑いたければ
ああ 街の灯は何も知らずに ただ 黙々と仕事をこなす 喫茶店のマスターのように
寡黙なまま
誰もいない夜の道々を照らすよ
なぜかそれが とても不思議だね
そして光を自ら発せぬ僕は 夜が来れば 暗闇に跡形もなく飲み込まれてしまうんだよ
僕も街灯のように
光を発せたなら
きっと そこにいるだけで 輝けるのにね
存在の像がぼやけた
僕の影は 光乏しく
街の灯に照らされても 街の灯がまぶしすぎて 存在の像が光と光で打ち消しあい消えてしまうよ
夜明けにはまだ遠い
歩き出したばかりの夜の途中で
僕の存在は奇しくも幽かなものだ。