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どるとるの部屋


[3430] イチョウの気持ち
詩人:どるとる [投票][編集]


紅葉の舞う季節
葉っぱも鮮やかな
色に染まり見頃を迎えたよ

並木道歩けばはみ出した両手や首筋を撫でる木枯らし
なんだか切なくて
頬を染める
赤い夕日の中でも
昼下がりの少し肌寒い空気の中でも
同じようにきれいな景色さ

イチョウや紅葉の気持ちになって そして僕もはらはらと季節を流れる 時の水面をたゆたう木の葉のように
ただ流れに身をまかせて 明日からまた明日へと歩いてゆく

イチョウの気持ちになれない人などいなやしない
みんなそれぞれの切なさを抱えながら
気づけばはらはらとその頬を流れる涙です

イチョウの気持ちになったから 僕は切ない色に心まで染まって 振り返れば木枯らしがふゅるり さびしそうに鳴いた

ふと懐かしく思い出す歌のように

入り口も出口もなく
ただその時が来ると
ゆっくりとだんだんと 僕らは色づく景色を眺めながら
秋や冬や夏や春を
見つけるんだ

そして僕は暮れかけた街の片隅に佇み
イチョウの気持ちを感じながら
家路を歩く

夕暮れの一番きれいな季節なのに
美しさに隣り合うようにある切なさにほろり涙がこぼれるよ

始まりも終わりもなく
僕は『さよなら』という栞をはさんだ
明日はまた宛もなくここからのらりくらり始まるだろう。

2011/11/27 (Sun)

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