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どるとるの部屋


[3475] 幸せのベンチ
詩人:どるとる [投票][得票][編集]


座るまもなく
訪れる
濁流のような
季節の流れ

私のベンチは
どこですか?

空気椅子など
無用です

私のベンチは
どこですか?

涙はもう
いりません
ほほえみよりも
有り余る

ダイヤモンドのかけらすら 私には買えない それなのに
欲をあらわに人は往く
のどの渇きを抑えるように麻薬を服用
ラリる街

なんもかんもがわからない
理解の及ぶ域を越えている

座るまもなく
訪れる
流れ作業のような
毎日だ

私のベンチは
どこですか?

涙はもういりません
空気椅子には座れません

私のベンチは
どこですか?

塗料の剥げた私の心
どうかあなたの優しさで カイロのようにあたためて

ベンチがないなら
私の心がベンチです
寄りかかれるのは心です

塗料の剥げた私の心
単純なほど 簡単な
言葉で 包み込むのです

ベンチのように
ベンチのように

私があなたで
あなたが私

それぞれの居場所になるのです

それぞれのお家になるのです

心は心に帰るのです

よいしょと腰を下ろすのは
あなたの心がいいのです

ベンチに座ろう
私のベンチ

ベンチに座ろう
あなたのベンチ

愛という名の背もたれに背中をあずけ
支えられ 受け止められた喜びに 幸せはそっと尋ねてくる

たとえ色味をなくしても 年寄りになっても その場しのぎで構わない

いついつまでも
あなたというベンチが私の居場所であるのなら

それが私のベンチです

これがあなたのベンチです

あなたのためのベンチです

好きなときに好きなだけ 愛を補充しに座りなさい

幸せはいつもここにある

望まなくとも与えられる幸せに 当たり前などと言わないで

その座り心地をかみしめて

くたばるまでは
壊れない

そのベンチに
今日も腰掛ける

私のベンチ
あなたのベンチ

この世にひとつの
特注品

幸せという名の私のベンチ。

2011/12/05 (Mon)

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