詩人:どるとる | [投票][得票][編集] |
だんだん 歳を重ねて
だんだん 痩せていく
だんだん 物覚えが悪くなる 若さを失う
だんだん 目も悪くなる
だんだん 閉じこもりがちになる
だんだん さびしくなるよ 頭も心も
それでも おじいさんは
それでも おばあさんを
死ぬまで 愛するのです
それでも おじいさんは
それでも おばあさんを
変わらない気持ちで好きだと言うのです
縁側でひなたぼっこ
たまにふざけあって
猫が鳴いて お茶を飲む おばあさんは何も言わない
おじいさんも何も言わない
何も言わなくてもすべてわかる
百年くらいの人間の人生の中では くだらないくらいのこの時間
それでも おじいさんもおばあさんもそんな時間ほど大切にする
今日も おじいさんはおばあさんを愛してる
そして おばあさんもおじいさんを愛してる
二人は若い頃のままで愛しあいながら
変わらない気持ちで見つめ合って 今日も天気がいいねなんて
それだけの会話の中にも愛が輝く
青い空に 筆で白い絵の具 点々と押し付けたような雲が浮かぶ晴れた昼下がり
おじいさんはおばあさんへ
おばあさんはおじいさんへ
何も言わないままで
黙ったまま 歌を歌うの
それがおじいさんとおばあさんの歌。