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どるとるの部屋


[4120] あるひてのひら
詩人:どるとる [投票][編集]


このてのひらで 誰かを庇うことができる
この口で 誰かを慰めてあげられる
この両手で誰かを抱きしめてあげられる

困っている人がいたなら その人の立場になれる頭もある

なにもできないんじゃなくて なにもしないだけなんじゃないかな
僕もあなたも
小さなことでいいんだ
少しずつでいいんだ

誰かの涙が 広がって 心の奥に 海をつくったら その海の底に沈んだあなたを 助けに行くんだ

絶えず人が行き交うこの街で 心携えて歩けないんじゃ悲しいだけだろう

だから持てる限りの血の通ったやさしさ持ち寄って
あなたに手をさしのべるんだ

このてのひらは なんのためにあるのかな
この口は この耳は
誰かを傷つけ 都合のいい声や音色にだけ笑うためにあるんじゃないだろう

だから誰かのためを思ってさ今日も生きるんだよ、当たり前だけど大切なことだろう

ある日このなんの変哲もないてのひらが誰かを助ける 素晴らしいてのひらになったらこのてのひらにもやっと人間らしさが生まれる

さしのべる手なら 二つもあるだろう
考えるまでもなく 誰かの涙に駆け寄って

その人の傘になろう。

2012/08/06 (Mon)

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