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どるとるの部屋


[418] 終わりは再び始まる為に
詩人:どるとる [投票][編集]


心に沁み入るようにさよならのチャイムの鳴き声が聴こえる
今日も街にはやはりおきまりの夜がおとずれた
まるで信じられないくらいの早さで僕に与えられた限りある一日はこうして終わる、めでたく何事もなく

今日のうちにやりたかったこと
今日じゃなくちゃやれなかったこと
何かあったかなぁ
いつも何かを果たそうとするけどなぜか何もできずに一日中家に居るだけでだいたいは終わる
気づけば夕暮れ
オレンジ色の空をうつろなまなざしで眺めてるよ

今日の自分にさよならを言おう
また明日もあるのにね
大げさなことだけれど今日は願ってももどらないから
今日の自分はもう死んだのさ
だからさよならを言うんだ
人はね一日一日ごとに自分の命を看取りながら死んでいく今日の自分を背負うものなのさ 消えない記憶として思い出という優しい響きで自分の中で書き換えて

だから
夕暮れの真っ赤な空にさよならを言うよ
夕闇で空が闇にのまれ何も見えなくなるまえに早く言わなくちゃ
もう今日の自分には会えない
夢の中へおやすみという言葉を合図に眠り明日目覚めてからは新しい自分なんだから
グッバイ、何度でも手を振ろう
気がすむまで
夜がこの街を完全にのみこむまで

やがて僕は時間という風に吹かれて飛ばされたんぽぽみたいにどこか知らない場所へはこばれるかな
ならばそれまでの時間を大切にすべきだと誰かは眼光もするどく言い放つよ

だらしなく靴の踵をつぶして
ポケットに手をつっこんでなんとなく出掛けた真夜中
行く宛もなく夜の闇の中を月の光を頼りに歩く

これからの日々を明るいものに変えていけるのは僕の中にどれだけ残ってるかな
それを億劫に感じる気持ちを別としても

こんな日々の繰り返しをもしも未来と言うならば僕はけっして否定したくない
笑えることもあるからね

だからさよならのあとに僕は言う
また会おうねと。

2009/11/01 (Sun)

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