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どるとるの部屋


[4486] ビードロの彼方へ
詩人:どるとる [投票][編集]


世界は鏡 世の中を映す瞳もまた鏡
僕の悪を映す 他人もまた鏡 人の闇に気づくこと それは僕が人の鏡だからさ

また人の悪を映すから ほら その痛みが鏡に映るように
僕は目には見えない痛みや苦しみまでを映してしまう鏡だから ほら目をそらすことはできない

あなたの悪が僕の悪でもあること
僕の善が誰かの善でもあること
互いを互いに支え合う中で
互いが互いに憎み合いもする
それは身勝手でわがままなようでも
ちゃんと理にかなってる繰り返しさ

全てを踏まえて僕らは鏡だから 脆くて割れやすいものなんだ
命はワレモノなんだ
ほらねきれいだけどひびが入れば鋭くもなるさ

君も僕もこの世界で生きる
一人一人が互いを映して そこに自分の醜い姿を見る

ビードロのような
形を持たない
霧のような何かを
それぞれが抱えたまま

今日も綻んでゆく
世界の片隅
僕は待っている

約束された゛その時゛を

ひび割れて 曇って
汚れて 廃れて
命はやがて暗い世界の闇も知り、そこに救いなどないことを知る

だからこそ自分だけは自分は きれいでいようと無理やり
偽りの太陽気取って暗い暗い世界に光を届けようとする

トンネルは長いから
奥まで届かなくても
届くところまで
歌はひびくだろう

ビードロのような
脆く 儚い世界でも
愛はあるように
平和があるように
戦争やいじめも
絶えない世界にも
夢はあるように
幸せがあるように

僕は切にただ願うから 忘れないで
誰かがいたこと

影のない 幽霊のような存在でも、椅子にはいつかのぬくもりが 僕に君に誰かに訴えかけてる

さよなら 僕は謹んで言うよ 言うよ 歌うよ

ビードロの彼方へ
どうぞ届きますように。

2012/12/09 (Sun)

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