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どるとるの部屋


[452] 天窓
詩人:どるとる [投票][編集]


遠い遠い昔の話 昔話さ
でも嘘や作り話じゃないんだよ
それはそれは現実すぎるほど血なまぐさいリアルな話

僕らは恋人のような関係だったね
君がいつだったか泊まりに来て屋根裏部屋にあがり天窓から空を見た

その時さ
思い出しただけでも思わず泣いちゃうのは

他人にはどうでもいい話さ
聞いてくれなくてもいい
ただ僕は君のあの言葉を大切に大切にしているよ
嘘でも作り話でも
あの日の夜の出来事は本当だから

僕らがおっきくなったら結婚しよう大きな家を建てて
夢や理想はどこまでもふくらむよ
子供の無邪気すぎる心ではわからなかった
その言葉の重さ
現に今でも僕はそんな言葉を信じてる
バカだろう
大人にもなって
口約束もわからずに

でもあの夜
天窓から見た星空と月だけは僕らを優しく優しく照らしていた
君の言葉は未来には叶わない言葉でもあの日の星空だけは嘘にならないさ

覚えてるのが星空だけで君の言葉を忘れていればいくらかは幸せだった気がする
そんな気持ちもまた初恋の淡い記憶の1ページ
だなんて笑った

昔話は昔話でも
大事な大事な思い出さ
今も時々あの夜に僕をいざなうんだ
そのたび君のあの言葉が日に日に夢見てた理想ほどに苦味をはらんだ思いがふくらむのさ

それだけは避けられずに今も抱えてる
おもりのようなもの

だけれど願ってしまうのさ
どこかで暮らしてる君の幸せと絶えぬ笑顔を

子供のころの話と割り振ることがいつかできたなら…
そんな思いも今では何か間違ってる気がするよ
だってそれははじめての恋だからね
たとえ叶わなくたって恋は恋なんだから
覚えてなくちゃ悲しいよ

そう思う二十歳の僕
君もどこかで思ってくれてるとうれしいな

今は記憶の天窓から眺めるしかできないけれど
大人になった君は今もどこかで笑ってるかな
そうだといいなあ…

2009/11/07 (Sat)

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