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どるとるの部屋


[4579] ふつうの暮らし
詩人:どるとる [投票][編集]


なんでもない時間さ
ろうそくの火のよう
風が吹けばたちまち
消えてしまうだろう

覚えていたって
忘れなくても
いつかはみんな
たどり着いてしまう
行き止まりのその先に

夕陽がまぶしいのや
朝日がきれいなのも
夜空に流れた星も
全部いつかは

追いかけているものはどこにでもあるふつうの暮らし
部屋の中 瞼の裏
見えない場所に
気付かぬうちに
生まれてる幸せが
君に気づいてもらえるのをいそいそと待っている

くだらない会話を
続けて見えるもの
風向きを変えながら
動き出すジオラマ

笑い飛ばしたって
見ないふりをしたって
やがて降りる駅に
たどり着いてしまう
そしてさよならのドアが静かに開く

泣き笑い 背中合わせで喧嘩したこと 何ひとつ忘れてしまえばいいことなんてないから

見つめていたいものは河原の石のようにちょっとずつ違うそれぞれの暮らし
ドアの外 隣の誰か
夢から覚めたように
君はそっと勤めを果たすように消えたけどまだ面影はいまもここにある

ふつうの暮らしも当たり前って言葉で囲わなきゃ きっと幸せで満ち足りているだろう

だから望むものなんて最初から何もない

ただ側にいてほしい人がもういないってだけで僕はさみしさから逃れられない

なんとなくぼんやりしていると いつの間にか君の匂いがして
さっきまでそこにいたような
そんな気持ちになって 見渡すけどそんなはずはない現実に
涙を流さずにはいられない夜に気づいて
窓越し 映る部屋
うなだれる僕だけが世界に取り残されたような気分になる

それでもつづくよ
ふつうの暮らし

幸せの価値を曖昧にしたまま
次の駅へと時の電車は進む。

2012/12/31 (Mon)

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