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どるとるの部屋


[5318] 色彩
詩人:どるとる [投票][編集]


心を染めるのはなんだろう
全くの無から生まれる色彩

それは色と呼ぶにはあまりに透明で
不確かなものだからきっと誰も気づかない

僕らの周りにあふれているたくさんの色の中に
僕らの心の色はそっと紛れるように
ほんのり景色を色づけている

季節の中に そっと咲いている
小さな花の花弁を染める紅色
風を 染めるのは僕らの心
ほらどんなふうにだって見える

たとえば幸せなんてものは 見えないだけでさ
目を閉じ耳をすませばそこにあるんだよ

彩り豊かな 実りの季節は
田畑に 黄金の稲穂を繁らせる

そんな ありふれた当たり前の中に
ささやかな 香味料を添えるだろう
引き立て役は そんな些細なもの

ああ足りないものが多すぎる
わからないことが多すぎる
それでも僕は歩いていくのさ
いくつもの夜と朝を乗り越えて

たとえば正しさなんて概念は
はっきりとした形を持たないもの
そんなことに左右されなくていい

季節の果てにそっと波打ってる
新しい夜明けは世界の果てまで
朝を届けて 僕らが立ち止まる時
見たこともない色彩で世界を染める

たとえばそんな色に僕も染まれたら
きっといつか 忘れてしまった
涙を思い出して
海が出来るほど 泣くのだろう。

2014/05/10 (Sat)

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