言葉に出来ずに ただ黙ったまま五月雨に濡れていた 屋根の下に隠れたかたつむり 紫陽花ほんの少しの汗と涙の入り混じったこんな昼下がり陽射しは アスファルトに二度と消えない夏のあとを 焼き付けるのさ ほら情け容赦ない暑さがもうすぐ来るけれど五月雨は 優しく 僕らの思い出を 濡らすだろう火傷のような あの夏を そっと包み込むように。
[前頁] [どるとるの部屋] [次頁]