詩人:どるとる | [投票][編集] |
僕は見ていたよ 君の泣いているところを
僕は知っているよ 君の抱えてる痛みを
どんな幸せな景色の中にも 悲しみは紛れ込むものと知るがいい
目を閉じたまま 暗闇の中に 潜り込み
聴こえない音色に耳をすます
夕暮れ 歩道橋 土手沿いの道
あのタバコ屋さんの曲がり角
路地裏 田中さんの家 白と黒のブチ猫
僕のほっぺた流れる涙と迫る夕闇
下手くそな情景描写
口ずさむメロディ
遠ざかる今日のすべてのさよならにさよなら
僕は見ていたよ 風に揺れるブランコ
同じリズムで揺れる君の胸のふるえ具合
いくつでもこれから悩むし 迷うだろう
どんな場所にいても変わらないだろう
意識の中にも無意識の中にも生まれる
見えない刃が誰かの心に傷跡を負わす
夕方から降り出した雨 走る人波
混み合う駅と さっきから黙った君
名前も知らない花 香り立つ君の匂い
話しかけようとしてやっぱりやめて
そっと手を握って 微笑んだあの日の君
押し寄せる 感情の波 すべてのさよならにさよなら
遠ざかる今日のすべてのさよならにさよなら。