ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 思い出といっしょに

どるとるの部屋


[5394] 思い出といっしょに
詩人:どるとる [投票][編集]


夕暮れ、電車乗り継いで懐かしい街に来たんだよ

ずい分この街も
変わってしまった
あの店ももうない
あの歩道橋ももうない
時の流れの残酷さを知る

誰かが言ってたんだ
「思い出は胸の中に
しまっておけばいつまでも壊れない」
そういうもんだって

だけど僕は 目に見えるものだけがすべてだって どうしても思ってしまうんだよ
だってあまりに思い出は綺麗すぎるから

振り返ることをやめてしまったら
無かったことになってしまいそうで
こわいんだ 悲しいんだ

だから僕は振り返ることをおそれずに思い出といっしょに歳をとる

昼下がり、近所の路地裏 そこにある時間は永遠

僕の知ってる街とは違う街のようだね
こんな寂れた街はやだと 出て行ったあいつを責めることは僕にはできない

誰かが言ってたんだ
「思い出ばかりにとらわれてたら今を生きれない」
だから忘れることも大事だ

だけど僕は無理に忘れなくても 思い出は思い出のままで
胸の片隅にそっと残しておくのが いいと思うんだ

たまに振り返って 懐かしく思う
悲しかったり 恥ずかしかったり
そんなふうに時の流れを感じながら

生きていくっていうのもわるくはない
思い出が色あせるように僕も色あせてく

ホコリ被ったように浮かぶシミさえ生きてきた証に変えて
ほら、歩いてこう

だけど僕は 目に見えるものだけがすべてだって どうしても思ってしまうんだよ
だってあまりに思い出は綺麗すぎるから

振り返ることをやめてしまったら
無かったことになってしまいそうで
こわいんだ 悲しいんだ

だから僕は振り返ることをおそれずに思い出といっしょに歳をとる。

2014/05/31 (Sat)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -