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どるとるの部屋


[5599] 呼吸すること
詩人:どるとる [投票][編集]


終わりなんだね
エンドロールが雨のように
或る物語の最後を静かに見送っている

見えているものなどほんのわずかなもので
聴こえているものなどちっぽけなもので
だから僕は大切なものと向き合うとき
目を凝らし耳をすます 暗闇と無音の中に明日を探す

ここにいる僕は
いつか跡形もなくなる存在だけど
嘘じゃないんだよ
ましてや幻でもない
「だから生きている」
そんな当たり前なことを確かにするために絶え間なく呼吸している

悪あがきなんだよ
世界に向けてのささやかな抵抗
単なる偶然の産物などと呼ばれぬように

無意識の中でも誰かを思いやるそんな僕がいる
無意識の中でも誰かの痛みに気がつける僕がいる
だから、僕は人でなしと呼ばれたとき
自分の悪を憎むことで 心だけは正しくあろうときれいごとを声高に叫ぶんです

この世界に存在する
すべての命には
一人一人に違う輝きがあって
光り輝くけれど
汚れたりもする
「今日も生きている」
そんな当たり前なことをほめそやすのは違うかい?でも並大抵の事じゃない

無意識だって出来る呼吸という行為を
人は当然の一言で片付けるけれど 呼吸することは単にそれだけを意味するとは僕には思えない

ここにいる僕は
いつか跡形もなくなる存在だけど
嘘じゃないんだよ
ましてや幻でもない
「だから生きている」
そんな当たり前なことを確かにするために絶え間なく呼吸している

生きようとするその勇気が
力強く呼吸している。

2014/07/27 (Sun)

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