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どるとるの部屋


[5652] 死という名の世界の終わり
詩人:どるとる [投票][編集]


たとえばこの世界が
ひとつの毛糸玉だとして
そこから 綻んだ 一本の毛糸が僕だとしたら
終わりがあるのもしかたないなあ

いつかたぐり寄せてしまうだろう
いつか引き寄せてしまうだろう
死という名の世界の終わりを

個人の死は その人の中の世界の終わりにも値する
誰が死んだって その人に深く関係しなければ
世界はまだその人の中で生き続けて 変わらず回り続ける
冷酷という言葉が似合う だけど世界は終わらないんだ
おまえ自身の死が現実にならなければ
誰が死んだって 変わらず今日も夜が明ける

たとえば死が選べるものだとしたら どうだろう
いつ死ぬのにも 苦しみを伴わず 楽に死ねるとしたら
自殺したい人には好都合だろう

街は死体であふれるだろう
街に腐敗臭がただようだろう
それこそ世界の終わりより悲しい

僕がいなくなっても誰ひとり悲しまない
そう思うのはおまえが誰かの眼差しに
気づいてないでひとりで生きている気になっているから
冷酷という言葉が似合う おまえにも僕にも言えることだ
おまえが生まれた日世界にまたひとつ新しい産声が上がった
それを誰より喜んだ人の笑顔を奪うな

汚いものをつまむように命をつかむおまえが
いつしか忘れてしまったもの それは生きる本当の喜び その意味

世界の終わりは死が告げるのではなく
本当の終わりはその人の命の有り様ひとつ

だから死は世界を終わらせられない
たとえ死を迎えても朝は変わらず
僕がいなくなった世界にも誰かの部屋の窓辺に朝日を差す。

2014/08/05 (Tue)

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