詩人:どるとる | [投票][編集] |
何も 見えないよ
何も 聴こえないよ
すべての光が
すべての音が
眠っているから
どこかで 今
静かに 寝息を立てる人
一定のリズムで波打つ脈拍
悲しいことなんてこの世界には無いよ
それを悲しいと思わなければの話だけど
見えないそれをあたかもあるように
思わせるのは透明という名の確かな存在
ああ僕は これ以上
何かをごまかすことは出来ない
隠し通す自信もないよ
だから涙は素直にはみ出すのさ
誰も 気付かないよ
誰も 見通せないよ
すべての意識が
すべての無意識に
語りかける
いつでも悲しくてでもうれしくて
ただ ここにいる
それだけで いいと思う
流れる血もあたたかくこの体を巡る
その血さえ醜いなら僕らは悲しい生き物
何ひとつ 解き明かせない そんな悲しさを笑うのは けして強がりじゃないよ
ああ これ以上僕は言葉を紡げない
暗澹たる 闇にのみこまれた心は
まっすぐ 明日を見つめたまま動かない
動けない
透明であるがゆえに 見つかりづらいものを僕らは いつも胸の中にしまってる
それが命というのものだ
ああ僕は これ以上
何かをごまかすことは出来ない
隠し通す自信もないよ
だから涙は素直にはみ出すのさ
だから命は愚直に
泣き出すのさ。