ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 親不知

どるとるの部屋


[5856] 親不知
詩人:どるとる [投票][編集]


楽しいだけの絵本を子供に読ませてはいけないよ
血に染まってない絵本を子供に読ませてはいけないよ
命が 関わらない 絵本を子供に読み聞かせてはいけないよ
死体を見て「恐い」と思う気持ちや
「気持ち悪い」と思う気持ちを
抱かせながら 教え込みながら
小さな体躯のおまえを少しずつ ねじ曲げてやる

他人の痛みは 己の痛みをもって 知りなさい
光を求めるなら暗闇の中を歩く 勇気を持ちなさい
手を振り 歩いていこう
血の流れる様を 隠そうとする世の中を許すな
本当に子供たちが学ぶべきは
お利口な勉学ではなくて 計算出来ない心や魂のかたち

愉快なだけの物語を子供に見せてはいけないよ
世界には戦争もいじめもあるって 嘘をつかずに
親が自分の声でちゃんと世の中の有り様を話さなきゃ
どうして人が人を殺めてはいけないのか
殺めたとこで得られるものはない
そういうことも わからせなきゃ
正しさだけを 信じようとする 人に育てないで

他人の痛みは 己の痛みを通してでしかわからない
傷の深さや罪の重さ軽さで全てを決めるな
血の雨に濡れながら 行こう
きれいごとまみれの世の中を 鼻で笑え
光の中はさそがしあったかいだろう
だが、ぬるま湯から出てたまには
冷たい風に からだを晒せよ

あって 困るようなものでなければ
ずっとそのまま 我が身となれ
だけどいつしか生まれた「それ」は親不知のように
やがて、あなたをもどかしさで包むよ
だから さよならをしよう そのあまい心に

手を振り 歩いていこう
血の流れる様を 隠そうとする世の中を許すな
本当に子供たちが学ぶべきは
お利口な勉学ではなくて 計算出来ない心や魂のかたち

血の雨に濡れながら 行こう
きれいごとまみれの世の中を 鼻で笑え
光の中はさそがしあったかいだろう
だが、ぬるま湯から出てたまには
冷たい風に からだを晒せよ。

2014/10/05 (Sun)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -