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どるとるの部屋


[5866] ささやかな抵抗
詩人:どるとる [投票][編集]


長い長い川をたどるように
僕は行くよ 夕暮れも夜明けも
喜びがひとつ この世界に朝日を差して
悲しみがひとつ この世界に死をもたらす
僕は何も言えない
違うな何も言わない
恐れをなしたまま
背中向ける弱虫だ

弱いとこを見せるのが嫌で強者にささやかな抵抗を試みる
傷が 口をひらき そこから流れ出す涙で世界が見えない
川の終わりへ続く道
僕はまたひとつ
ひと時のさよならを奥歯でかみしめた

待ちわびた夜は猫の額のように
長く伸びて 闇を果てまで広げている
痛みが 誰にも等しいものと知っている
でもそれは僕が見てる世界の掟だろう
僕は動けない
違うな動こうとしない
動きたくない それが本音だ

弱いとこを見せるのが嫌で強者にささやかな抵抗を試みる
傷が 口をひらき そこから流れ出す涙で世界が見えない
すべてがすべてに別れを告げる場所
僕はまたひとつ
すれ違うように違う場所へ旅立つ命を見送った

産声に重なるように
遠くで呼吸が止む
ああ本当に大切な人を失ったとき
心は何を見つめるだろう
心は何にすがるんだろう
心は明日を見つけられるんだろうか。

2014/10/10 (Fri)

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