ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 聞こえないさよなら

どるとるの部屋


[5882] 聞こえないさよなら
詩人:どるとる [投票][編集]


今日死んだ誰かの
最後の台詞は
空に消えた 空に消えた
瞳に映る景色や場面に 耳に届く音や声に
何を重ねているのか 僕にも教えてよ
夕暮れの街 暮れていく空 ぽつんとたたずむ君の影が 揺れた

さよならさえも言えないままじゃ
悲しすぎるから なくした何かに
今はもう出会えぬ命に手を振るよ

明日生まれる命に名前をつけるなら
夢や希望を託しなさい
この世界は とても息苦しいから
気づくといつも寂しさに小さな胸をふるわしてる
いつもの帰り道 夜の中 手を伸ばせばすぐに冬の風が指先にふれる

このさよならの声はあなたには聞こえない
だってあなたはもうどこにもいないから
振り返るその先灯る家の明かり 優しく

折り紙折るように
少し 手間のかかる
作業だ それは
命を懸けた日々を
折る あらすじをなぞる物語

さよならさえも言えないままじゃ
悲しすぎるから なくした何かに
今はもう出会えぬ命に手を振るよ

だから今別れるべき時にすべてにさよならをしよう。

2014/10/19 (Sun)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -