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どるとるの部屋


[6141] 影絵
詩人:どるとる [投票][編集]


輪郭をかたどるように そこにあるすべてのものに影は差す
見えないものも形を持たないものも例外なく
同じ重さの命をそのからだに 抱きしめてる

この世界の真ん中で 誰もが 自分だけの世界を眺めたまま
何を見つめ何を聞いている?

つまらない人になろうとするのを頑なに拒むその手の力を そっと 抜いて
ひとつの形にこだわる その手を 開いて 今日と明日を阻む瞼の裏に今を映して
影絵みたいに 心はここにあるよって 伝えて

命にも影があるなら 光の中で 息づくその愛しさの中にも
影は差し込むから 汚れることくらいある
綺麗なままでいるために 傷ついたりもする

誰もこの世界の真ん中にはなれないから 誰もが片隅で
小さく ひそひそ声でささやくのさ

僕の足元に揺れる影は何を確かにするために そこにあるのか それはわからない
確かなものだけに与えられたのが影ならば心は ここにあることさえ不思議
影絵みたいな 心は 生きてるよって 笑ってる

そこにあるものを映すためのスクリーンならば簡単だろう
映したいものを乱暴にスクリーンに翳せばいい
だけど命というものには それさえ叶わぬ
だから何度でも見失うよ確かなようで不確かな 僕という影を
だから 僕は痛みを知り 生きてるということをからだに教え込むんだ

つまらない人になろうとするのを頑なに拒むその手の力を そっと 抜いて
ひとつの形にこだわる その手を 開いて 今日と明日を阻む瞼の裏に今を映して
影絵みたいに 心はここにあるよって 伝えて

この身に 降り注ぐ
陽射しのあたたかさや雨の冷たさの向こうに 見ている光
確かじゃなくても
感覚や触覚にささやきかけてる。

2015/03/14 (Sat)

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