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どるとるの部屋


[6175] 風船のひとりごと
詩人:どるとる [投票][編集]


なんだか心が軽いんだよ ふわり宙に浮かんだみたいに
傷ついた昨日の思い出がまだ 誰かの胸の中にさざ波を立てる
なんとなく気になってしまう
空を見上げて探してしまう
あの日のちっぽけなどうだっていい約束も果たせないまま
いくつもの季節を越えて来てしまった

いろんな色の風船がひとつずつ順に割れていって

この手に 瞼に 落ちてくる思い出のかけら
壊れていく 消えていくものだと 最初からわかっていたはずなのに
思いのほか 悲しくて 切なくて
思い出を手放すとき 涙が あふれて止まらなかったよ

誰かが 語る 昔話がひとりごとのように歌になる
耳にすっと入ってくるメロディは 優しい肌触りをしている
振り返ってばかりの旅だなあ
いつもそこにあったのに
今はもう何もなくて 気づけばそばにいた人でさえも 別れてしまえば夢と同じ

大切な人との思い出さえもいつか白んだ夜明けの光に消えて

本のページをそっと送るように めくっていく それだけの
日々の中で いつかはその本を読み終えて
僕も窓から空へと見えない翼で羽ばたく
思い出に手を振って
「ありがとう」って笑うだろう

この時間は巻き戻らず先を急がない 時計回りに ただ 同じ感覚で時を刻む
そしてやがて すべての人の人生は 静かにその時を止める

この手に 瞼に 落ちてくる思い出のかけら
壊れていく 消えていくものだと 最初からわかっていたはずなのに
思いのほか 悲しくて 切なくて
思い出を手放すとき 涙が あふれて止まらなかったよ

だけど 拭わなくてもいいんだ その涙は今を生きてるあかし。

2015/03/21 (Sat)

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