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どるとるの部屋


[6667] この手がおぼえているすべて
詩人:どるとる [投票][編集]


手を伸ばして つかめる場所に愛はあって

でもいつの日か別れの時は必ず来てしまう

そしてどんなに愛しいと思うあなたでさえも

僕の腕の中から君をさらっていってしまう

それまでの 数十年程の時間の中で
どれだけ 思い出をつくれるだろう

あなたが笑っている今は いつか

僕の中で思い出になってしまうよ

それならせめて楽しい思い出であるように

あなたと笑える今を精一杯 生きたいと思う

明日 何があるかもわからない世界だ

だから、繋いだこの手を

もう一度確かめるように ぎゅっと握った

ふれるかふれないかの微妙な距離感で

君の匂いだったり声を 感じている

ちっぽけなこの手でなにができるだろう

たとえばあなたの明日の笑顔の種になるなら

こんな僕でも少しは役に立つ
同じ速さで一歩ずつ歩いていくんだ

あなたがいたことは誰が忘れても

僕のこの手がおぼえているからね

あなたと泣いた日のこと 笑った日のこと

そんな当たり前な日々こそ大切にしたい

悲しみばかりにとらわれてしまわないように

繋いだこの手のあたたかさが

今ここにある愛を教えているんだよ

ばかばかしいこと くだらないこと

笑っちゃうくらい 恥ずかしいこと

そのすべてをおぼえていたいと思う

愛されたことも愛したことも

けっして 嘘にならないように

もう望んでもふれられない今日を迎えても

あなたが笑っている今は いつか

僕の中で思い出になってしまうよ

それならせめて楽しい思い出であるように

あなたと笑える今を精一杯 生きたいと思う

明日 何があるかもわからない世界だ

だから、繋いだこの手を

もう一度確かめるように ぎゅっと握った

握り返してきた その力強さが 僕に明日を生きる元気をくれる。

2015/10/24 (Sat)

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