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どるとるの部屋


[686] あしあと
詩人:どるとる [投票][編集]


残してきたあしあとがこれから残すあしあとの数をこえたときあふれる切なさと喜び
君がいてくれることで君のぶんまで増えるあしあと
そしてやがてどちらかが消えてまたひとりぶんになるあしあと

この世界に生まれて
はじめて大地に足をつけたあの日から僕の旅が始まっていたんだね

あしあとが減っても
あしあとが増えても
すべて運命と笑えばいいかな 泣けばいいかな 僕らは無力だな

どうしようもない
現実になすすべなく倒れるしかないね

でも君がくれたあしあとの数だけある
思い出やたどってきた旅の記録
そのすべてがひとりぼっちになったどちらかをあたためてくれる
そばにいるよ
あしあとが見えなくても君のそばにいよう
天から降りてきて

僕が先に逝ったなら
目に見える君のあしあとの隣に目に見えない僕のあしあとをつけるよ
君の思い出の中に
僕がいたように
ほら僕も君が先に逝ったならそうするから
君もそうしてください
さびしくないよ
こわくなんかないよ
あしあとは見えない
それでもそれでも
そばにいる
きっと 僕は

いつかは別れゆく愛のさだめ しりながら愛しあう者へかせられた宿命だから
受け止めるほかないよ
だから僕が生きているあいだにいっぱい君を愛すのさ

何も言えなくなるまえに君の心に僕のあしあとを残そう
たくさん
たくさん
数え切れなくなるくらい思い出を残そう

君のため
すべては
君のため

だからね
君もどうか
僕のため
心にあしあとをください
そばにただいるだけであしあとを増えてくから
どうかずっと
時間がゆるすかぎり
そばにいてね
日々生まれるあしあとで埋め尽くしてよ
僕の心の中を

愛してくれたという証と君がいたという証に
僕も君の中に残すから 僕がいたという証にさ。

2009/12/13 (Sun)

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