詩人:どるとる | [投票][編集] |
見上げる空が 白く染まって
今にも 雪が降りだしそうな
ささやかな ときめきが
この胸を 桃色に染める季節は
君のことを 思い出しながら
ビニール傘の向こうに
雨上がりの虹を描いている 今年はまたちがう君に会えるかな
遠く離れた 二つの思いを結ぶように
ばらばらの 駅と駅をレールがつなぐ
その瞬間
どこにいても 電車ひとつあれば
何処にだって大概は行けるんだ
切符の買い方すら わからない君は
切符売り場で 戸惑いながら
僕のシャツの袖を引っ張ってた
小雪混じりの空が冬をしらせてる
かじかむ僕の手を じんわりと
君の手の熱が ほどくように溶かしていく
路線図を指で たどりながら
僕たちの目的地をもう一度確かめる
地下鉄の暗い トンネルみたいな闇に
優しさを 覚えるのも久しぶりさ
つないだ手のひらのあたたかさや
隣で眠る君の寝顔のかわいらしさや
そんな ひとつひとつに目をやりながら
幸せ過ぎて困ったような表情してる
どこにいても ここにいるよって
気を抜いたら 離してしまいそうな手を握り直すんだ
何度でも
君がまだ見たこともない 風景とか
まだ出会ったことのない空の色を
話す僕はどんな表情しているのだろう
きっとどっちつかずの顔なんだろう
とりあえず、腹ごしらえといこう
特別なことは出来そうもないから
やらないし やろうとも思わないよ
出来ることだけ いつでも無難で安全が一番
情けなさなら 誰にも負けないさ
でも忘れないで 君を思う気持ちも一番さ
ほら 夜に向かって暮れていく空がだんだん人足を遠ざけてく
星がひとつ流れたよ 見えたかい?
小雪混じりの空が冬をしらせてる
かじかむ僕の手を じんわりと
君の手の熱が ほどくように溶かしていく
ほら、さっきよりずっと あたたかい
そしてまた 宛もなく走り出す電車は二人を乗せて。