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どるとるの部屋


[7091] 盲目
詩人:どるとる [投票][編集]


引いていく波の形を指先で なぞりながら
散っていく花の 手触りを覚えさせながら
あなたがいた そんな当たり前な日々を

もう取り戻せない時間を体に刻み込む

ああ どうして人は忘れていくんだろう
思い出さえも 夕日の彼方にとけていく

人混みに紛れて 悲しみを消し去ろうと
悪あがきしてたけど記憶から手を離せず
また僕は君のことばかりに胸を満たしてた

僕は 目には見えない感情にふれながら

耳には聞こえない音を探しながら

笑ったり泣いたりした 毎日を

ひとつずつ 引き出しにしまった

ああ どうしてなくしたものほど
愛しくなるのか 君がくれた温もりのせいだ

僕が見てる世界は 君がいた世界とは違う
幸せなんて お腹を満たすだけの食事だ

心は思い出に満たされているのに

帰らない日々を 目蓋の裏に映しながら
映画のように 遠い記憶に光が あたって

くだらない会話さえも今では 名残惜しい 君に会いたい
何度でも 同じ気持ちに なる
それが ただただ悲しい

人混みに紛れて 悲しみを消し去ろうと
悪あがきしてたけど記憶から手を離せず
また僕は君のことばかりに胸を満たしてた。

2015/12/27 (Sun)

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