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どるとるの部屋


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詩人:どるとる [投票][編集]


手を伸ばせば 届きそうなほど
空は あんなに 近くにあるのに
いくら手を伸ばしても 届かない

暖かな春の日に 僕は 少し 生き方に迷ってた
あんなにも軽かったはずの命が 今さら重たい荷物になっていた

桜の花びらに ふれた指先が
まだ肌寒さを ぬぐえずに
こすりあわせた 朝のベランダ
ため息を 吐き出すと白く煙り やがて消えた

だいぶ歩いてきたような 気がするのに
振り返ってみても スタートラインからそれほど離れてない
まだ 若葉の私

目を閉じて つくった 小さな逃げ場所は
やがて 思い出で いっぱいになったけど
求めたのはそんな寂しいものじゃない

一歩が こんなにちっぽけだから
疲れ果てるまで歩いても 夕暮れには追いつけない
季節の 暦が 少しずつ変わっていっても
相変わらず私は私のまま 生きていくのに

新しい ページに降る 白い雪
降りしきるほどに 切なく 透明な空から落ちてくる 冬

桜の花びらに ふれた指先が
まだ肌寒さを ぬぐえずに
こすりあわせた 朝のベランダ
ため息を 吐き出すと白く煙り やがて消えた。

2016/01/06 (Wed)

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