詩人:どるとる | [投票][編集] |
ふたりはマフラーたなびかせてきらめく街へと駆け出して行くある日の寒い午後
街はもうクリスマスムード一色
なんとなく君を誘ったはいいけど何を話せばいいやらわからなくてさ さっきから無言のまま喫茶店の一番奥のテーブルに座って向かい合わせ
お互いうつむいている
こんな僕の気持ちをもしも歌にできたなら
どんな内容のどんなタイトルの歌になるのかな
予想もできないや
君が帰り際 そっと手渡してくれた手編みの手袋とセーター
僕はその場で着た
そしたら君がむちゃな人ねと笑った
そんな瞬間が一番好きなんだ
はじめてのデートで
はじめてのキス
甘い君の唇
はじめてのデートは
ぎこちなくもあっという間に
過ぎたよ 楽しく
サヨナラする前に君に言った言葉
今度いつ会えるかな
それだけがふたりをつなぎ止めている赤い糸にも似た小さな出入り口だよ
ほらまた 僕がやたら高い背をかがめて君に会いに入り口をくぐる
夢の中からこんにちは
目が覚めて 隣に君がいてくれたらこんな幸せはないのにねと恥ずかしくなった朝
長電話は真夜中まで続き気づけば一緒にいないことのほうが少なくなって振り向けば君がいる生活になじんだ
望むことはお互い同じだよ
いつまでもこのまま何も変わらずにふたりでいたいということだけ
はじめてのデートで来たこの公園の塗装のはがれた古いベンチに座って
またあの日を思い出してキスする日は
ふたりの思いが三度重なる日だ、指輪も渡せそうかな
そんな 気持ちで歩く並木道
今日もまたあの日と同じ気持ち確かめるように僕は君と君は僕と死ぬまでデート
ほら 永遠を描くようにふたりは歩く
目の前を横切る北風にさえ平気な顔
繋いだ手と手の温もりだけで難なく飛び越せる冬
君の薬指に光る小さな愛の証
裏切るまい逃げるまい
僕はこの薬指に光る指輪に誓う
愛の具合を確かめる。