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どるとるの部屋


[7469] いらぬ親切 いらぬお世話
詩人:どるとる [投票][編集]


今は親切なんか 求められないらしい
この前も電車で お年寄りに席を譲るとき
年寄り扱いされたのが気にくわなかったのか
大丈夫ですと 少しだけ眉間にシワを寄せながら丁重に断られたばかりだ

よかれと思ってしたことが まさか仇になるなんて
思わない僕の親切は行き場を失い
気まずくなった僕は違う車両に移った

ありがとうさえも素直に言えない 人にだけは
死んでもなりたくないとひそかに 思いながら生きている

たとえそれがいらない親切でもいらないお世話でも
求められなくても僕は人を 気遣い思いやることをやめない

「みんながみんなどこかで誰かとつながってる」
そんな見えない たしかな結びつきを 大事にしたいから

何かの本に書いてあった気がする
人間は親切にされると ためらう傾向にある
その理由が恥ずかしさなら とても くだらないことだ
人の親切を素直に受け取れないのは 恥じゃないのか

ティッシュを 配る人から
何割が ティッシュを受けとるのだろう
無視をする人 快く受けとる人
様々な人間模様が 色濃く 見える

恥ずかしいとか 気まずいとか
そんな つまらない気持ちは 見えない
唯一目を配るべきはその人の心の内側

ありがとうと言い ありがとうと言われ
お互いに感謝をしあったら 余計なものなんかきっと 生まれない

「本当は誰も誰かに優しさを求めてる」
ただその優しさを求める 心が 不器用でへそ曲がりなだけだ

ほら見てごらんこんなに人がいるのにな
どれだけの人が この中で自分より 他人を思う気持ちを 持っているかな
たとえばハンカチを目の前で落とした誰かに 親切に 声かける勇気 たとえばそれが 愛なんてものじゃないのかなあ。

2016/03/07 (Mon)

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