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どるとるの部屋


[7489] 終電の男
詩人:どるとる [投票][編集]


蜘蛛が糸を吐くように レールを手繰り寄せる
電車は走る 何も見えない闇の中を 明かりひとつたずさえて

長い芋虫 這うように走る
赤く錆び付いた 鉄の道を

窓に映る 間抜け面した自分の顔
時々目があって 気まずくなって

船を漕ぐように うとうとしかけて
眠らないようにつとめてる終電の男

あらすじを読むのも疲れたので ちょっとたまには
出来合いの 筋道をそれて 獣道に分けいるのです

くしゃみ一発 数キロ先まで飛ぶ
ミクロの菌類 着地したかもわからない

暗くなったり明るくなったり
目を閉じたり開いたりの繰り返し

あやふやで曖昧な思考が回る
意識の外れでお腹が鳴る 胃袋エンプティ

改札を 抜ければほらやけに月のきれいな夜

黄色い 満月が 夜空を泳いでく すいすいと

幸い悲しみはぼんやりしてる
今ならどうにかこうにか笑えるぜ

窓に映る 間抜け面した自分の顔
時々目があって 気まずくなって

船を漕ぐように うとうとしかけて
眠らないようにつとめてる終電の男。

2016/03/16 (Wed)

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