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どるとるの部屋


[7538] 他人という壁
詩人:どるとる [投票][編集]


たとえば目の前に 世界の果てまでも
どこまでも引かれた線があるなら

僕はその線を 越えることはできない
踏み越えてしまえばきっと楽なのに

何かを区切ったり区別するための線なら
差別という言葉も分別ですと居直る

引かれた線の向こうには 僕の知らない
あなただけの物語がドラマのようにあるのだろう

同じようで違う僕とあなたを隔てる
見えないその線は消すことはできない

だって 目には見えない架空の線だから
だけど軽々しく越えられもしない

いつも相対する大多数の僕とあなたの間には数センチばかりの 隙間が開いている

たとえば 心のすべてをさらけ出したら
頭がおかしくなってしまうよ

他人には見せたくない自分だけの秘密も
包み隠せない世界には安らぎの居場所がない

醜い本性にモザイクを欲しがるのは 裸の心ではあまりに寒いから

嘘やごまかしという服を 着せてあげるんだ
心を裸にしてしまえば お互いに気まずいだろう

たまにはずる賢くもなって
何かを偽るくらいの狡猾さで

誰かの 関心を惹いて 見栄を張るんだ
本当のことなんて誰も知りたがらない

傷を負った心にちょうどいい目眩まし
世間の目は節穴の目くらいがいい

そして愛しあう僕とあなたの 間にも
どうしようもなくそびえ立つ他人という壁がある

決まりきった掟なんて 見えない振りだ
正義には 答えなんてなくて ただ模範回答みたいな 例文になぞって線をはみ出さないように塗り絵をしているだけ

同じようで違う僕とあなたを隔てる
見えないその線は消すことはできない

だって 目には見えない架空の線だから
だけど軽々しく越えられもしない

いつも相対する大多数の僕とあなたの間には数センチばかりの 隙間が開いている

その隙間にあるのは きっとあなたにはない唯一自分が自分である証だ。

2016/03/25 (Fri)

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