詩人:どるとる | [投票][編集] |
真夜中の真ん中を 走り抜けてゆく
最終電車が 急いで向かう 終点
大きな体ですらりと雨をよけて
パパっと雨粒はじいてく 環状線
傘を差した 僕の細い手に 君は手渡した
とっておきのロマンス 忘れられない思い出を束ねた 花束
駆け抜けていくこの夜にまたがって
息巻いて 息巻いて 駅前へと 行く足取り
悲しみさえも 背負っていく 覚悟だけなら人一倍あるんだよ
少しは誉めてくれてもいいだろう?
改札を抜ければ そこは星と月の夜 雲ひとつない 晴れた夜
まばたきひとつで 世界は変わっていく
さっきまでの世界はほら 色を変えて
移ろう感情 振り子の軌道を描いて
夜を朝まで運び朝を夜まで運ぶ
繰り返すのは おざなりの日々と アイミスユー
ゴミ出しの日を忘れないように 生きる
窓の外 めまいを起こすような 七色モザイク
夢の世界までの道案内を 頼むよ
ついていくだけでいい 楽な仕事さ 迷うふりしていればいい
愛らしいスマイルと熱い珈琲で目を覚ます
ああすべてが夢だと気づくまでの安息
レールをつたって
電車は空に上るよ
邪魔するものは
蹴散らして 空に上るよ
君も行かないか?悲しみのない世界へ
君は僕の手を 瀬戸際で離した
「あなたには ついていけないわ」
僕は 落ちてく君を見てた とても美しかった
駆け抜けていくこの夜にまたがって
息巻いて 息巻いて 駅前へと 行く足取り
悲しみさえも 背負っていく 覚悟だけなら人一倍あるんだよ
少しは誉めてくれてもいいだろう?
改札を抜ければ そこは星と月の夜 雲ひとつない 晴れた夜
君を失った 部屋の中に 朝は 静かに
訪れて ポストには朝刊が届く。