詩人:どるとる | [投票][編集] |
名前も知らない駅までの切符を買った
少年が 見た空に浮かんでた雲の形や
花の色なんかが どんな思い出より
確かに 心に刻まれるよ
それはふいに始まる 一人だけの旅
子供が一人で電車に乗って
生まれた街を離れて行くのは
とても勇気のいることだ
めったにできることじゃない
知らない街の空と 窓越しに映る 景色
開けた窓から風が そっと吹き込んで
ほら 不安なんてどっかに消えてしまうほど
めくったページは眩しいくらいきらめいてた
電車が レールを伝い 走る 夏の空を
小さな瞳が鏡のように映している
誰もいない無人駅のベンチと赤いポスト
一時間に一本の電車
東京とは 遠くかけ離れた 田舎町
電車に乗って旅に出かけよう
宿題なんてあとでもできる
普段はできないことをやるんだよ
知らない景色に会いに行く
学校では教えてくれない 空の青さと命のこと
手のひらを 川に浸して 冷たさをかみしめた
両手ですくって飲めば空の味がした
夏休みはまだ始まったばかりだ
次は何をしよう
どこまでも広がる田畑に
牛蛙が 鳴いている
畦道に 陽炎が揺れている
部屋の中にいるなんてもったいない
素敵な景色や空が こんなにもあるんだ
子供が一人で電車に乗って
生まれた街を離れて行くのは
とても勇気のいることだ
めったにできることじゃない
知らない街の空と 窓越しに映る 景色
開けた窓から風が そっと吹き込んで
ほら 不安なんてどっかに消えてしまうほど
めくったページは眩しいくらいきらめいてた
思い出す子供の頃のあの夏は いつもきらめいてる。