ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 東京の夜

どるとるの部屋


[7686] 東京の夜
詩人:どるとる [投票][編集]


あみだくじみたいな混みあう路線図を
指先で たどりながら目的地を確かめる

窓の外を過ぎてゆく景色がいつの間にか
暗くなって 夜になってしまった

蛍みたいに飛び交う 街明かりが
人懐っこく 窓に浮かんで 消えてく

気のせいか誰かの涙みたいに見えたんだ

なぜか空を飛んでいるような
少しの浮遊感 眠れない東京の夜

明日もまた仕事 準備に抜かりはない

誰かの書いた筋書き通りのシナリオで
物語が続くのなら癪だ だけど打つ手なし

24時間 ずっと 働きづめのアリのように
働くだけの 機械ではいたくない

環状線 外回り なめるように 流す
つり革さえ 重たい終電トライアングル

笑いかたさえ 忘れてしまいそうになる

月が頭の上に輝いている
改札を出てまだ風に春が残る 東京の夜

麦酒でも買って帰りますか

片手間で 続けてるような仕事
ロマンスは 欠片さえ見当たらない

宛もなく ふらふら酔いも回って
麦酒一杯で 幸せになる 単純なもんです

蛍みたいに飛び交う 街明かりが
人懐っこく 窓に浮かんで 消えてく

気のせいか誰かの涙みたいに見えたんだ

なぜか空を飛んでいるような
少しの浮遊感 眠れない東京の夜

明日もまた仕事 準備に抜かりはない。

2016/04/20 (Wed)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -