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どるとるの部屋


[7705] 旅立つ君に
詩人:どるとる [投票][編集]


さよならの日はそう遠くはなかったわ
君は僕より先に東京へと旅立つと決めたの

知らない街への切符を握りしめ
夢への第一歩を踏み出した君の笑顔は眩しいくらい輝いていた夜明けの町に
昇る太陽 背にして

これから始まる 新しい暮らし
まだ見ぬ出会いが君を待っている

悲しいことも辛いことも
もしかしたらあるかもしれないなあ

でも今は不安より期待が膨らむよ
旅立つ君に 別れの言葉は似合わない

それじゃまたねなんて言ってみたよ
本当は泣きたくて仕方なかった筈なのに

遠ざかる 君を乗せた電車に手を振るのが
精一杯だった 強がりの僕がいたよ

東京の暮らしはどうだい?慣れたもんだわ
電話だと強がるに強がれないくせしてさ

お酒に酔ったふりして 寂しいときにかぎって電話を寄越すのも
いつものことで そのたびに慰めた
でも慰められたのはどうやら僕かも知れない

桜ももう終わりだね 花びらも片付いて
夏を待つ町 君はどんな気持ちでいるだろう

ページをめくってゆくように 過ぎ去る季節 時間だけが先を急いでる

たまには帰って来てよと珍しく弱音を吐く僕に 言ったのは

少しだけ生意気で でも優しい言葉
今でも この胸に大事に残しているよ

君が帰って来る日 待ち合わせした時間より 少し早く着いた僕はせっかちだね

午後から降りだした雨は まるで
僕の気持ちを察したようだ

でも、僕はそんな泣き虫じゃないよって
思ったのに君の笑顔を見た瞬間

溢れだした涙を僕は止められなかった
二人の間に言葉はなかった
ただ 再会を喜んだ

抱きあった懐かしいぬくもりに
思い出のある場所を見つけたよ。

2016/04/24 (Sun)

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