詩人:どるとる | [投票][編集] |
長く果てしない坂道を 二人で上る毎日
時々休みながら 小言も言いながら
いくつも いくつも数えた星と月日を
太陽が こがしてくよ 昨日は戻らない
巻き戻しや 早送りなんてできない
ちょっと厄介で融通の利かない物語だ
僕らはアダムとイブのようにはなれない
喧嘩ばかりだし お互いをそこまで好きじゃない
でも 僕らは昔 ドキドキするような恋をしていた
シワを刻んだ手のひらに 君は白髪をひとつに結わえて
写真の中の僕に そっと語りかけるんだ
器用な君には似合わない不器用な僕
失敗ばかりの僕を 怒りがらも助けてくれた
ありがとうもまともに言ったこともない
でも誰に言われるでもなく君は僕を 助けてくれた
リセットもできない そのためのボタンもない
ゲームじゃないよ パスもできないんだ
僕らは 美女と野獣もいいところ
君と僕はアンバランスでバランスがとれてない
でも 僕らは 昔 誰もが憧れる恋人だったんだ
君より先に僕が 逝ってしまったのが悔やまれるな
空からあなたを見守ってるの知ってるかい?
爪も自分で切れないよ
耳掃除も 君にやってもらってたよ
唯一 君が誉めてくれたのは 僕が はじめて作った 下手くそな野菜炒め
まずいのに 君は全部食べてくれました
思えば僕は幸せでした あなただったから
いなくなってはじめてありがとうを言えるよ
でも君に聞こえない
僕らはアダムとイブのようにはなれない
喧嘩ばかりだし お互いをそこまで好きじゃない
でも 僕らは昔 ドキドキするような恋をしていた
シワを刻んだ手のひらに 君は白髪をひとつに結わえて
写真の中の僕に そっと語りかけるんだ
君の瞳に涙がひとつ ぽたりこぼれたのを見た
僕は 思うよりずっと君に 愛されていたんだ
僕らは 思うよりずっと 素敵な恋人だったんだ。