詩人:どるとる | [投票][編集] |
旅立ちと別れ 風の行く先にある未来
春も終わり 何かが始まろうとしている
桜が散るとき 私の中で何かが変わった
またひとつ 大人への階段を上がったよ
陽射しはゆるやかに坂道に降り注ぎ
抱いた夢を抱えた誰かが走ってゆく
東京に行くと決めたその日お母さんとお父さんは私を 引き止めなかった
ずっと胸に秘めてた気持ちを打ち明けた私にくれたのは思いがけない言葉
「自分のやりたいことをやりなさい」
そう言って さりげなく背中を押してくれた
私は その言葉を胸に 明日、東京に行くわ
送り出してくれる日 空は晴れて 青空
川も光に照らされ 輝いてたのを覚えてる
古ぼけた 電車の窓から 顔を出す私に
母がくれた 弁当と少しのお金
お父さんは 会うのが照れ臭いのか
私が旅立つ日ついに来なかった
東京はふるさととは違うからうまくやれる保証もないが やるだけやってみるわ
そっけなく 父は言う 「おまえには幸せにはなってもらわなきゃ困る」
月に一度の仕送りと
母からの手紙
お父さんは元気です
とても心配してます
時々会いたくて 涙を流してる私がいる
伝えたいこの寂しさを 悲しさを
地方と東京は離れてはいるけど
ひとつの空でつながってる
だから 電話もたまにはするわ
でも顔の見えない会話だから
どんな顔をしてるかもわからない
次の休みには 帰るわと伝えた
あなたの顔が早く見たい
そう言う母の声が教えてくれる
離れてはじめてわかる
親の大切さ 優しさ 溢れるほどの愛
そして何度も思い出すよ記憶を手繰り寄せるようにあの日を。